artscapeレビュー
植松奎二 展 軸─重力・反重力
2012年06月01日号
会期:2012/05/26~2012/06/23
ギャラリーノマル[大阪府]
ベテラン作家の植松奎二が、1970年代から80年代初頭に集中的に制作していた木材とジャッキによるインスタレーションを再構成した。画像を見ると3本の木材に黄色い布地をくくりつけたように見えるが、実際は木材2本を縦に並べた状態×3であり、布地は木材の接続面に挟まれている。木材とジャッキが放つ剛性のテンション(push)と、布地の柔らかな曲線が醸し出す柔性のテンション(pull)の対比が美しい。また、紡錘形の鉄板を10枚積み上げた形の大作や、ドローイング、小品、記録映像も展示されていた。このような企画は本来美術館で行われるべきものだが、残念なことにいまの関西ではそうした企画はほとんど行なわれない。意義深い企画を実行した画廊に拍手を送りたい。
2012/05/26(土)(小吹隆文)