2022年08月01日号
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artscapeレビュー

第61回東京藝術大学卒業・修了作品展

2013年03月01日号

会期:2013/01/26~2013/01/31

東京藝術大学(大学院)・東京都美術館(学部)[東京都]


群を抜いていたのは、高田冬彦と林千歩。それぞれすでに多くの展覧会で発表して作風を確立しているが、いずれも基本的なラインを抑えつつ、集大成というより新たな飛躍を感じさせる挑戦的な映像インスタレーションを発表した。
変態的なパフォーマンスで知られる高田は、壮大なオーケストラの音響にあわせて股間の食虫花を開閉させる作品に加えて、モデルの身体の各部位にとりつけた人形に口頭で指示を出してまぐわせる新作を展示した。荒い鼻息で口にされる甘い言葉には失笑を禁じえないが、しばらく聞いていると一抹の悲哀と愛慕を感じるようになるから不思議だ。
一方、林はミュージカルのような映像作品を上映すると同時に、暗室の空間自体をレリーフや立体造形によって構築することで、映像内の世界観を再現した。インド映画やミュージック・ビデオなどを巧みに引用しながら映像を物語る構成力と、デフォルメした役者の演技を過剰にやり過ぎる一歩手前で押しとどめる演出力がすばらしい。
高田と林の作品に何があるのか、まだわからない。けれども、どんなアーティストであっても、その未知の可能性を私たちに問いかけるからこそ、私たちは新たな作品を期待するのだから、2人が次にどのような展開を果たすのか、注目したい。

2013/01/29(火)(福住廉)

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