artscapeレビュー
プレビュー:劇団☆死期『ワンナイトレビュー』、大駱駝艦・壺中天公演・村松卓矢『忘れろ、思い出せ』
2013年03月01日号
[東京都]
個人的に今月一番注目しているのは、3月23日に予定されている、森美術館で開催されている会田誠展「天才でごめんなさい」での関連イベント、劇団☆死期の演目2(劇団☆死期 ワンナイトレビュー)。演目1は会田のパートナーでもある美術作家の岡田裕子を中心とした人形劇が上演されるとのことで、こちらも気になるのだが、演目2に出演する高田冬彦と林千歩のパフォーマンスがどうなるのか期待大なのだ。artscapeレビューですでに紹介済みでもある2人★1。どちらも東京藝術大学の大学院修士課程をこの春修了するというとても若い作家なのだが、彼らが得意とするヴィデオ作品の面白さは格別。高田の最新作は卒展で見た。ひとつの身体上で愛をめぐる複数の接触が天使の指示とともに展開される作品は、エロく、不気味で、悪趣味にも映るが、濃密な愛の物語になっていた。林千歩の作品では本人の容姿とは対照的に、しわくちゃのおじいさんのようないでたちで林が登場すると、グロテスクな張りぼての怪物のとともにパフォーマンスする、不可思議で鮮烈なイメージが現われたりする。会田誠との類似性を見出そうとするよりも、ポスト会田世代の作家の躍動それ自体に目を凝らしてほしい。ダンスでは、当レビューではおなじみの壺中天の新作をレコメンドします。今回の振付は村松卓矢が担当。それだけで必見というべきなのだけれど、『忘れろ、思い出せ』のタイトルがまた秀逸(2013年3月15日~24日、大駱駝艦スタジオ 壺中天)。
2013/03/01(金)(木村覚)