2020年02月01日号
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artscapeレビュー

知られざるミュシャ展──故国モラヴィアと栄光のパリ

2013年04月01日号

会期:2013/03/01~2013/03/31

美術館「えき」KYOTO[京都府]

ポスター作家として名高いアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。本展はミュシャの代表的なポスター作品とともに、これまであまり目に触れることのなかった油彩画や素描作品など、約160点余りを紹介している。油彩画や素描作品はおもに「チマル・コレクション」からのもので、日本での公開は初めてだという。南モラヴィア地方(現・チェコ共和国)に生まれたミュシャは、ウィーンとミュンヘンで美術を学んだ後、パリに移り下積み時代を過ごしていた。当時、依頼を受け制作したサラ・ベルナールの公演『ジスモンダ』のポスターが大ヒットし、ミュシャは一躍スター画家となった。パリで名声や商業的成功を収めた彼は、1910年、モラヴィアに帰郷し、デザイナーとしての第二の人生を過ごした。というのは、1918年にチェコスロバキア共和国が成立すると、ほとんど無償で、国章、紙幣、切手をデザインしたり、プラハ市庁舎ホールの装飾を手がけたりするなど、商業デザインではなく、祖国のためのデザインに力を注いだ。つまりパリ時代の華やかな画題とは異なる、祖国の人たちや祖国への思いを描き続けた。「チマル・コレクション」はミュシャの故郷に住む医学者チマル博士が親の代から長年にわたって集めてきたもの。ミュシャのパリ時代のポスター作品とは一味違って、素朴で故郷や人々への暖かい眼差しが感じられる作品が多い。巨匠の二つの時代が概観できる。[金相美]

2013/03/09(土)(SYNK)

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