2020年02月01日号
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artscapeレビュー

CARNIVAL カーニヴァル

2013年04月01日号

会期:2013/03/01~2013/03/31

旧横田医院[鳥取県]

鳥取市の中心部にある病院の廃墟で催された展覧会。悪魔のしるしとフジタマの2組が病院内の随所にそれぞれ作品を展示した。主催はホスピテイル・プロジェクト、キュレーションは赤井あずみ。
何より圧倒的なのが、病院の建築だ。地上3階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造の建物で、円筒形のフォルムがひときわ異彩を放っている。中心から放射状に広がるかたちで病室やレントゲン室、手術室などが設えられ、内部の空間はいずれも小ぶりで、中心部は外光が届かないせいか、やたらに暗く、そして寒い。けれども、円環状の廊下を歩いていると、方向感覚を喪失するような感覚が生まれるのが、おもしろい。
そこで不意に出会うのが、フジタマの映像作品である。TVモニターやプロジェクターで見せられているのは、人形や民芸品を使った謎めいた物語をはじめ、中高年のバスツアーの記録映像を再編集したもの、ハワイ人に似ている男性など、いずれも不可解な魅力があふれているものばかり。それらを時空がねじれたような空間で鑑賞するから、頭のなかの混乱によりいっそう拍車がかかり、映像から引き起こされる笑いと恐怖が倍増するのである。
搬入プロジェクトで知られている悪魔のしるしは、「蛇籠め」という土着的な祭りをでっちあげ、藁を身にまとわせた参加者とともに力を合わせながら巨大な蛇を会場である旧横田医院に運び入れるイベントを催した。会場には、その記録映像と写真、この病院の模型、搬入した蛇などが展示されていたが、土着的な祭事を人為的に演出するコンセプトには共感できるものの、イベントにも造形化された作品にもさほど魅力を感じなかった。それは、おそらくそれらの作品がおおむね私たちの理解の範疇に収まってしまうからであり、フジタマのように理解の範疇を超越するのりしろが欠落していたからではないだろうか。建物自体がひとつの芸術作品のような奇妙な場なのだから、もっと突拍子もない祭事を想像しなければ、私たちの視線は廃墟の空間をいつまでも彷徨うことになるだろう。

2013/03/17(日)(福住廉)

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