2020年02月01日号
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artscapeレビュー

河口龍夫 聴竹居で記憶のかけらをつなぐ

2013年04月01日号

会期:2013/03/02~2013/03/03

聴竹居[京都府]

建築家の藤井厚二が京都・大山崎に建てた自宅兼実験住宅で、エコ建築の先駆として評価されている聴竹居。ここでは過去に何度かコンサート、見学会、展覧会などが催されているが、3月初旬に行なわれた「河口龍夫 展」もそのひとつである。河口は聴竹居を訪れた際に「空気と時間の静寂が美しいほこりのように積もっている」と感じたそうだ。結果、彼が採用したのは、種子、貝殻、匂いなどをモチーフとした小品を、邸内にさりげなく配置する展示プラン。自身の表現を声高に主張するのではなく、周囲の環境に寄り添わせる慎み深いやり方だった。だからといって、感動までもが控えめだったわけではない。視覚、嗅覚、触覚(一部の作品は触れることができた)、聴覚(周囲の音)、味覚(茶話会の参加者に限る)の五感をフル活用する芸術体験は贅沢の一言。この場でしか味わえない感動が確かにあった。

2013/02/24(日)(小吹隆文)

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