artscapeレビュー
田中秀介「回想と突発のわれわれ」
2013年10月15日号
会期:2013/09/10~2013/09/22
ギャラリーモーニング[京都府]
大阪芸術大学美術学科油画コース出身の田中秀介の同ギャラリーでの3度目の個展。不穏、不安、焦燥感など、ざわざわとした感情のイメージも喚起する、奇妙なモチーフやタイトル、不安定に流れるような筆跡、構図、色彩。田中の作品はこびりつくように記憶に残る魅力がある。今展には、作家の故郷である和歌山県の風景や、自らの制作アトリエの一帯を描いた作品など、田中が日頃身近に感じている場所や人々をモチーフにした作品も並んでいた。役所で働く人々をモチーフにした作品、大阪の本町通で見かけたという男女をモチーフにした作品等、荒唐無稽なストーリーが潜んだものもあるのだが、それらには田中の飛躍的で解放的な想像力がうかがえる。今後の活躍も楽しみだ。
2013/09/15(日)(酒井千穂)