artscapeレビュー
死刑囚の絵画展──囚われているのは彼らだけではない
2013年10月15日号
会期:2013/09/28~2013/09/29
鞆の津ミュージアムでやっていた死刑囚の絵画展が渋谷にも来るというので見に行く。殺風景な展示空間に作品数を絞って展示してあるため、焦点がより明確化したように感じる。あらためて気づくのは、みんな几帳面に描いていることだ。多くの人は絵を描きたい(表現したい)というよりも、ていねいに写す作業に没頭したいという印象を受ける。だから内容はほとんどなんでもいいという感じ。ただ何人かは明確になにかを訴えている。「死刑廃止」をはっきり訴えているのは33人中3人いるが、偶然なのか、うち2人はすでに死刑が執行されたという。皮肉なもんだ。ところで、彼らの作品がこうして外部に公開される際、当局による検閲はあるのだろうか。
2013/09/29(日)(村田真)