artscapeレビュー
ル・コルビュジエと20世紀美術
2013年10月15日号
会期:2013/08/06~2013/11/04
国立西洋美術館[東京都]
常設展示室でコルビュジエの特集をやっていた。シャルル=エドゥアール・ジャンヌレことル・コルビュジエの絵画、ドローイングを中心に、彼を絵画の世界に導いたオザンファン、ピカソ、ブラック、レジェらおもにキュビスムの作品を展示し、あわせてコルビュジエの建築ドローイングや写真も紹介している。彼は午前中に絵を描いて、午後から建築の仕事をしていたそうだが、忙しいのによく絵を描き続けられたもんだ。もちろん絵は建築の仕事の養分になったはずだが、それだけではないだろう。彼の絵を見ると、レジェとかピカソとよく似てるなあというのが正直な感想だが、個々のモチーフが構造的にしっかりと把握されているせいか、論理的で言語化しやすい点はさすが建築家と感心する。とはいえ、別に絵画で一番をとろうとか革命を起こそうとは思っていなかったはずで、建築に比べれば余裕の制作だったに違いない。それにしても、自分の設計した極東の美術館で自分の絵が展示されるとは、コルビュジエ自身も予想してなかっただろう。時間がなかったので駆け足で回ったが、示唆に富んだ展示だった。
2013/09/05(木)(村田真)