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井口健、久米建築事務所《北海道百年記念塔》(1970)/佐藤武夫設計事務所(現・佐藤総合計画)《北海道開拓記念館》(1971)

2013年10月15日号

[北海道]

《北海道百年記念塔》へ。開拓事業の一環となるコンペで井口健が選ばれ、1970年に竣工したものである。高さは100mだが、都心でもなんでもないこのエリアでは、とんでもない大きさのタワーで、遠く電車で移動中の線路の上からもよく見える。森林公園の水平の広がりと一点集中の垂直が対照的だ。モエレ沼公園にも通じる日本離れしたスケール感である。続いて佐藤武夫による《北海道開拓記念館》へ。これも煉瓦貼りながら、列柱が並ぶ巨大なモニュメンタル建築だ。屋上からは、遠くに札幌ドームも見える。展示は、先史時代、アイヌ、蝦夷、開拓、酪農と工業、そして戦後の高度成長と続くが、本州とは違う視点で、北海道という特殊名場から見た「日本」近代の歴史をたどることができる。

写真:上=《北海道百年記念塔》、下=《北海道開拓記念館》

2013/09/05(木)(五十嵐太郎)

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