artscapeレビュー

2013年10月15日号のレビュー/プレビュー

視触手考画説

会期:2013/07/06~2013/09/01

トーキョーアートミュージアム[東京都]

プラザ・ギャラリー開設25周年記念展の第3期は、菊池敏直の企画で、「第一線で活躍する作家からハンディをもつ人の作品までを同じ空間に展示する」というもの。「第一線で活躍する」のは小山利枝子、佐川晃司、藤村克裕ら9人で、絵画、コラージュ、彫刻など1点1点サイズも大きく、余裕を持って展示している。それに比べ「ハンディをもつ」約20人は小さめの作品が多く、狭い空間に2段3段がけで展示されている。別に「差別」を告発しようというのではなく、逆に「ハンディをもつ人」のいわゆるアウトサイダーアートは1点1点独立して鑑賞するものではなく、むしろ何点も並べて全体で見せたほうが力を発揮することを確認させてくれた。じゃあ「第一線」は1点1点鑑賞に耐えるかというと、それが問題なのだ。なかにはどちらに属するのかわかりにくい作家もいたが、作品の大きさと展示面積の広さでかろうじて判断できた。

2013/09/01(日)(村田真)

《札幌大通地下ギャラリー 500m美術館》(2011)

[北海道]

《札幌大通地下ギャラリー 500m美術館》を見学した。2つの駅をつなぐ通路の片側がずっと展示場になっている。東京の行幸地下ギャラリーの方が空間はキレイだが、500m美術館の方が企画の独自性が強い。そして圧倒的な長さが壮快である。開催中の「旅するアート」展は、丹羽良徳の映像作品を含む、9組の作家を紹介していた。まちなかの空間をいかに使うかを探る、2014年の札幌ビエンナーレへの布石と言える場所だろう。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

太田實+北海道立美術館設計共同企業体《北海道立近代美術館》(1977)

[北海道札幌市]

《北海道立近代美術館》を訪れる。ギーディオンの主著『空間・時間・建築』を訳した太田實らが設計したものだ。明快なシンメトリーの軸があり、両サイドが斜めに伸び上がる、強烈な形と形式性から、70年代の懐かしい香りがする建築だ。「パスキンの生きた時代」展は、エコール・ド・パリをにぎわせた画家を取り上げ、放浪の後、人物像のやわらかい色彩に至る軌跡を紹介し、「ふれるかたち」展は、彫刻を触っていい企画だった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

《北海道立三岸好太郎美術館》(1967)

[北海道]

札幌出身の三岸好太郎の美術館が、道立近代美術館のすぐ近くにある。あの有名な貝殻のモチーフは、画家が31歳で亡くなる死の直前だったものと知る。ゆえに、バウハウス帰りの山脇巌に依頼したモダニズム建築のアトリエも完成を見ることがなかった。竣工してすぐ、ここで彼の遺作展が開催されている。「絵からとびだしておいで!」展は、おばけのマ~ルと美術館のコラボ企画だが、美術の場を再解釈する面白い試みだった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

ほっかいどう大マンガ展

会期:2013/07/13~2013/09/08

札幌芸術の森美術館[北海道]

札幌芸術の森美術館「ほっかいどう大マンガ展」を見る。いがらしゆみこ、安彦良和、寺沢武一、相原コージ、今敏、山本直樹、高橋しん、花輪和一、吾妻ひでおほか、北海道出身や在住の作家を大量に紹介しているが、その多さに改めて驚く。また原画で10頁ほど連続して展示するため(物語の最小単位として)、多くの壁が必要となるのも、マンガならではだった。ゆえに、右→左の読む方向をいかに整理し、動線をデザインするかも重要である。

2013/09/02(月)(五十嵐太郎)

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