artscapeレビュー
トランス/リアル─非実体的美術の可能性vol.3 末永史尚・八重樫ゆい
2016年08月15日号
会期:2016/07/16~2016/08/27
ギャラリーαM[東京都]
東神田のαMへ。梅津元企画「トランス/リアル─非実体的美術の可能性」の3回目は、末永史尚と八重樫ゆいの2人展。末永は5点ほどの《絵》を壁に掛けずに立て掛けている。表に描かれた格子はキャンバスの木枠。とすれば、裏面が絵でいう表になり、それぞれ異なる単色で塗られている。格子模様の抽象画ともいえるし、キャンバスを原寸で描いた具象画ともいえる。見逃せないのは側面に絵具の滴りが残されていることで、これによって絵画らしさが強調されている。八重樫は小さなキャンバスに水平または垂直方向にストライプを描き、別方向から別の色彩のストライプを描いて画面を埋めていく。例えば《chart》は幅広い刷毛を使ったため、色面抽象のような画面ができあがり、《フィルバート》は穂先の丸いフィルバートという筆で描いたため、塗り始めが丸くなっている。ふたりとも「絵画」をテーマにした絵画といえる。
2016/07/23(土)(村田真)