artscapeレビュー
Identity Ⅻー崇高のための覚書
2016年08月15日号
会期:2016/06/24~2016/07/30
nca | nichido contemporary art[東京都]
ゲストキュレーター天野太郎氏の掲げたテーマは「崇高」だが、なんでいま崇高なのかわからないし、出品作品から崇高さが感じられるわけでもないけど、まあいいか。出品は7人。楊珪宋は陶で心臓などの内臓をつくり、極彩色に塗り分けたオブジェ。こういうのに惹かれるのは、もっとも身近にありながらもっとも見えにくいものを視覚化したら、グロテスクなものになったからだろうか。平川恒太は、チューインガムの噛みカスを画面いっぱいに貼りつけて《German Winter Sky》と題したり、スーラの点描画を月明かりで再現したり(ほぼ真っ黒)。これがいちばん「崇高」に近いかもしれない。ほかに川久保ジョイ、小西紀行、對木裕里ら。
2016/07/01(金)(村田真)