artscapeレビュー
太陽
2016年08月15日号
入江悠監督の映画『太陽』を見る。イキウメによる同名の演劇とおおむね同じプロットだが、入江版の方がオラアこんな村イヤだ! 感が強い。すなわち、旧人類であるキュリオ側の少年が中心になっている。なお、地方の問題は、入江がこれまでの作品でも描いたモチーフであり、それが今回はSF仕立てに変換されている。またイキウメ版の方が、新人類ノクス側も昼の旧人類の行動や考えに触れて、合理的な夜の世界に疑問を抱く。そしてラストは入江版の方が救いというか、共生への希望を感じさせる。
2016/07/12(火)(五十嵐太郎)