artscapeレビュー
アートアワードトーキョー丸の内2016
2016年08月15日号
会期:2016/07/25~2016/08/03
丸ビル1階マルキューブ+3階回廊[東京都]
昨年度の美大の卒業・修了制作展から選抜した20作品を展示。吉田桃子は木枠に張らないキャンバス作品2点の出品。どちらも映像の一部を拡大して描いたものらしいが、画像がキャンバスのやや上に寄り、下部に余白を残しているため、絵具の滴りが何十本もの線条として流れている。水谷昌人は小さなキャンバス作品3点。キャンバスの上に絵具を何層にも塗り重ねて表面を平らにし、中央に縦長の穴を掘って赤系の絵具をチューブから絞り出してるため、まるで内臓がはみ出してるように見える。どちらも描かれた画像より、媒体・形式に目を向けている点で異彩を放つ。ふたりとも京都市立芸大大学院というから、この傾向は偶然ではないだろう。まったく違うが、渡邊拓也はカナヅチ、ペンチ、ハサミ、懐中電灯、ハンガーなど思いつく限りの道具をテラコッタでつくって並べている。すべて茶褐色でフリーハンドの造形のため、道具の機能性より形態の多様性に目が向く。
2016/07/30(土)(村田真)