artscapeレビュー
聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画
2016年08月15日号
会期:2016/07/09~2016/09/19
国立西洋美術館[東京都]
ケレン味たっぷりの「カラヴァッジョ展」の次は、ドイツ・ルネサンス期の知られざる銅版画家メッケネムの展覧会。ギャップが激しいなあ。しかも多くはキリスト教主題で、小さめのモノクロ版画が大半を占めている。こんなんで夏休みのチビッコたちを呼べるのか。いや、夏休みくらいガラ空きのスペースで知的な大人たちにゆっくり鑑賞してもらおうという美術館側の配慮かもしれない。そんな大人のための見どころは、オリジナルとコピー。メッケネムはデューラーやショーンガウアーら人気画家の版画をコピーしまくってるのだ。いまなら盗作、著作権侵害で訴えられかねないが、当時は写真も画集もなかった時代、安く版画が手に入るのだからコピーは喜ばれたに違いない。メッケネムは刷り上がった版画を見ながらコピーしたため、画像の左右が反転しているが、たまに左右反転してないコピーもあって、なぜだろうと思ったら、右手に剣を持つ人が描かれているからだ。
2016/07/08(金)(村田真)
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