artscapeレビュー

林勇気 展 あること being/something

2011年03月01日号

会期:2011/02/18~2011/03/19

兵庫県立美術館[兵庫県]

兵庫県立美術館が、注目作家の紹介を目的に新たに始めた企画展「チャンネル」。その第1弾として、林勇気の個展が行なわれている。出品作品は、新作《あること》と、旧作5点。見どころはやはり新作で、天地6メートル以上、左右10メートル以上の大スクリーンに投影される映像大作となった。本作の特徴は、作中に登場する人物や素材の一般公募が行なわれたこと。延べ121人から集められたスチール画像は林の手で編集され、巨大スクリーン上で浮遊しながらゆっくりと上昇して行く。画面を見つめていると、まるで自分が世界そのものと対峙しているような気持ちになった。本作は、デジタル技術の進化により従来とは異なる質と形態でコミュニティーが構築されるようになった今日の世界観をビジュアライズしたものかもしれない。豊かな才能を持つ作家に活躍の場を与えるという美術館の狙いは、1回目から見事に的中した。

2011/02/18(金)(小吹隆文)

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