artscapeレビュー

第59回東京藝術大学卒業・修了作品展

2011年03月01日号

会期:2011/01/29~2011/02/03

東京藝術大学上野校舎[東京都]

毎年恒例となっている東京芸大の卒業・修了展。全面的な改修工事に入っている東京都美術館の代わりに、上野校舎内の隅々を使って作品が展示された。作品を展示するための空間ではなかったせいか、全体的になんとか工夫を凝らして作品を見せようとしていたので、次善の策とはいえ、美術館で見せるより結果的にはよかったのかもしれない。もっとも印象に残ったのは、藤島麻実の《一日一膳》。文字どおり365日、毎日ひとつの器を制作して、その365個の器を一挙に見せた。一つひとつの色やかたちがすべて異なっているので、見ていて飽きることがない。唯一無二の作風を求められがちな世界における、ささやかな反逆のように見えた。

2011/02/02(水)(福住廉)

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