artscapeレビュー

楳図かずお恐怖マンガ展 楳恐─うめこわ─

2011年03月01日号

会期:2011/01/21~2011/02/14

PARCO FACTORY[東京都]

漫画家・楳図かずおの恐怖マンガを回顧した展覧会。「ねこ目の少女」や「猫目小僧」、そして「漂流教室」など、珠玉の名作をもとに展示を構成した。一枚一枚丁寧に描かれた絵の迫力が凄まじいのはもちろん、会場の照明を落としてペンライトの灯りを頼りに歩かせるという見せ方も、絵のおどろおどろしさに巧みに拍車をかけていた。けれども、その一方で「恐怖マンガ」という括りが気にならないではなかった。それが「ギャグマンガ」と相対させられていることはわかるにしても、ギャグマンガと恐怖マンガの明確な違いがよくわからないからだ。「まことちゃん」はたしかに抱腹絶倒のマンガだが、身の毛もよだつほど恐ろしい場面がないわけではないし、「漂流教室」をギャグマンガとして読むこともできなくはない。笑いと恐怖がじつは表裏一体の関係にあり、その薄い皮膜を爆笑と悲鳴で縦横無尽に切り裂いてきたのが、楳図かずおのマンガではなかったか。だからこそ、戦後マンガ史において楳図かずおは特殊な位置を占めているのである。

2011/02/08(火)(福住廉)

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