artscapeレビュー

わくわくSHIBUYA

2011年03月01日号

会期:2011/01/13~2011/02/13

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

未来美術家の遠藤一郎がコーディネートする「わくわくプロジェクト」の展覧会。トーキョーワンダーサイト渋谷の決してそれほど大きくない空間に、有象無象の表現者たちによる作品が文字どおり鮨詰め状態で展示された。壁面と床はもちろん、階段の途中やその手すりなど、見過ごされがちな空間の隙間まで存分に使い切るエネルギーは凄まじい。原色と安価な素材による作品が多いのは、「100均的」というか「ドンキ的」というか、いずれにせよいま現在の同時代的リアリティーを体現しているのだろう。それらを学園祭的な祝祭性によって一気に爆発させる狙いはわからないではない。けれども、その一方で、若干の物足りなさを覚えないでもない。「わくわくプロジェクト」が現代アートの底辺に仕掛けられた爆発だとすれば、もっとも肝心なのはその爆発によって生まれる新たな遠心力ではないか。「わくわくプロジェクト」の内部で安穏とするのではなく、外部へと躍り出ていくこと。これまでの充実した成果を踏まえれば、すでにその段階に進んでいておかしくはない。

2011/02/08(火)(福住廉)

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