artscapeレビュー

八木マリヨ展 縄の森をくぐりぬけると…

2011年03月01日号

会期:2011/01/14~2011/03/10

GALLERY A4[東京都]

会場にあるのは、縄である。八木マリヨは徹底して縄の作品を制作するアーティストで、巨大な縄を空間に配置したインスタレーションにしろ、観客参加型のプロジェクトにしろ、表現形式は異なるものの、主題が縄から離れることはない。縄といえば自然環境や原始社会、あるいは縄文的なものを連想するが、八木の作品には岡本太郎のそれ以上に縄文的なものが強く立ち現われているように見える。太郎の縄文論は思想としては強かったが、それが必ずしも作品と対応していなかったところが弱みである。大衆的な人気とは裏腹に、太郎の絵画はまったくチンケでつまらない。けれども、作品がダメだからといって思想も退ける必要はない。太郎の縄文論をマリヨの作品で甦らせてしまえばよいのだ。これからの時代を生き抜くヒントがあるとすれば、それは太郎を再び呼び出して消費することにあるのではなく、そうした、ある意味で節操のない異種混交にあるのではないか。

2011/02/04(金)(福住廉)

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