artscapeレビュー
2013年03月15日号のレビュー/プレビュー
震災2年目を迎える日本─建築、アートの可能性 ~復興再生にどうかかわり、何ができるか~
会期:2013/02/21
日比谷にて、FPCJ特別企画プレス・ブリーフィング「震災2年目を迎える日本─建築、アートの可能性」を開催した。五十嵐は、被災した気仙沼のリアスアーク美術館、3.11により青森県立美術館で中止になった青木淳と杉戸洋のコラボレーションの実現、仙台在住の志賀理江子や青野文昭、被災地をリサーチした海外作家ブラスト・セオリーやアルフレッド・ジャーによるプロジェクトなど、あいちトリエンナーレにおける東北との関係を紹介した。一方、伊東豊雄はみんなの家と釜石のプロジェクトの現状を語る。後半は、仙台のみんなの家の現場と中継を結ぶ。当日は多くの外国人記者が集まり、いまだにさめない復興への関心の高さがうかがえる。
2013/02/22(金)(五十嵐太郎)
Recover&Rebuild Japanese art & design 第1回東日本大震災チャリティ展「Monster展」オープニング・レセプション
会期:2013/02/22~2013/02/27
渋谷ヒカリエ 8/ COURT[東京都]
渋谷のヒカリエにて、庄司みゆきが企画したMONSTER展のオープニングに顔を出す。公募の審査に関わり、会場にて展示された選出作品を見てまわり、さらにベストのものに投票する。完成度や機能性(とはいえ、あえて一部機能がないモノも含む)の点から、小野誠による異形のライターのセットが良かった。淀川テクニックも元気である。デザインやアートなど、多ジャンルが混ざる公募の審査は、選ぶための基準を決めるのが難しい。
2013/02/22(金)(五十嵐太郎)
Absolute basis──樫永創と片山浩の場合
会期:2013/02/18~2013/02/23
Oギャラリーeyes[大阪府]
表現形式の多様な現代において「何故、絵画を選択するのか」という問いに作家はどのように答えるのか。制作のアプローチもそれぞれの作家たちの作品を通して、表現への眼差しを探るというギャラリー企画のシリーズ展。4回目となる今回は樫永創と片山浩の作品が展示された。底知れない深淵の淀みのような暗い画面が不気味でもあるが、その奥深くにはなにかが潜む気配も感じさせる樫永の絵画。映画のワンシーンをモチーフに、同じ場面を何度も画面に描き重ねているという片山の一連の作品。絵の具が塗り重ねられた片山の作品は、繰り返し同一場面を描くという行為のなかで、その度に変化する感覚や感情、そのような“揺れ”を修正しようとする作家の意識なども垣間見えるよう。表現のあり方が異なる作家それぞれの制作の求心力がじわりとあぶり出しのように見えてくるのが面白い空間だった。
2013/02/22(金)(酒井千穂)
アーティスト・ファイル2013─現代の作家たち
会期:2013/01/23~2013/04/01
国立新美術館[東京都]
国立新美術館の「アーティスト・ファイル2013」展を訪れた。最初の部屋のヂョン・ヨンドゥは、子どもが描く想像の世界を、そのまま写真として再現しようとする試みである。むろん、そこに作家の解釈も相当入り込むが、元の絵と写真を並べる展示の形式も興味深い。志賀理江子はスペースの都合上、せんだいメディアテークで展示された写真の1/3くらいを持ち込む。場所によって、見え方が変わっていくインスタレーションである。
2013/02/23(土)(五十嵐太郎)
第16回文化庁メディア芸術祭
会期:2013/02/13~2013/02/24
国立新美術館[東京都]
国立新美術館の文化庁メディア芸術祭はものすごい混みよう。とてもゆっくり見るという感じではなかった。アート部門新人賞のQuayolaによる作品《Strata #4》が印象に残る。名画をデジタル処理して、ポリゴンの集積に変えていくもの。またマンガ部門の大賞として、ベルギーの建築的な漫画の巨匠フランソワ・スクイテンも展示されていた。相変わらず、驚くべき精緻なドローイングによる、きわめて芸術性が高い作品である。
写真=Quayola《Strata #4》
2013/02/23(土)(五十嵐太郎)