artscapeレビュー

2010年02月15日号のレビュー/プレビュー

修了制作内覧会2010

会期:2010/01/16~2010/01/17

東京藝術大学取手校地[東京都]

油画第4研究室に壁画第1、2研究室の院生による合同展示。大阪の橋本敏子ちゃんと一緒に講評会に呼ばれたのだ。でなければ行くか取手まで。興味深いのは壁画研究室。いまどき壁画をやるやつなんてあまりいないのに、第2研究室まである。大学の思惑がどこにあるのか知らないが、ぼくがおもしろいと思うのは、壁画という絵画形式はプライベートに所有することができないから、おのずとパブリックな性格を帯びること。そのせいか、研究室のひとつを担当する教官は中村政人で、その下には社会にコミットしようとする学生が集まって来る。そういえばかつて小沢剛も壁画出身だった。だから壁画研究室はなにもフレスコ画やモザイクといった技法を学ぶだけでなく、いかに社会にアートが関わっていけるかを探る場所でもあるだろう。そこを自覚的に推し進めれば、もっとおもしろい人材を輩出するはず。なるほど、『地域の力とアートエネルギー』の著書のある橋本さんをわざわざ大阪から呼んだ理由がわかった。

2010/01/16(土)

修了制作内覧会2010

会期:2010/01/16~2010/01/17

東京藝術大学取手校地[茨城県]

油画第4研究室に壁画第1、2研究室の院生による合同展示。大阪の橋本敏子ちゃんと一緒に講評会に呼ばれたのだ。でなければ行くか取手まで。興味深いのは壁画研究室。いまどき壁画をやるやつなんてあまりいないのに、第2研究室まである。大学の思惑がどこにあるのか知らないが、ぼくがおもしろいと思うのは、壁画という絵画形式はプライベートに所有することができないから、おのずとパブリックな性格を帯びること。そのせいか、研究室のひとつを担当する教官は中村政人で、その下には社会にコミットしようとする学生が集まって来る。そういえばかつて小沢剛も壁画出身だった。だから壁画研究室はなにもフレスコ画やモザイクといった技法を学ぶだけでなく、いかに社会にアートが関わっていけるかを探る場所でもあるだろう。そこを自覚的に推し進めれば、もっとおもしろい人材を輩出するはず。なるほど、『地域の力とアートエネルギー』の著書のある橋本さんをわざわざ大阪から呼んだ理由がわかった。

2010/01/16(土)(村田真)

内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」

会期:2010/11/14~2010/01/24

神奈川県立近代美術館鎌倉[神奈川県]

会期の終了が近づいているのを知り、ほとんど勢いだけで夜行バスに乗り鎌倉を目指した。薄暗い会場に入ると、ガラスの陳列ケースに小花柄や水玉などのプリントの布地、小さなガラス瓶、リボン、ビーズ、電球などで構成したインスタレーションが続く。鑑賞者はひとりずつ、順番に陳列ケースの中に入ることができるようになっている。美術館の展覧会場で、作品を独り占めするような贅沢な気分が味わえるのが凄い。中に入って意識を集中してみると、小さな鏡面やガラス、水面などに映る周囲の光景、水の波紋や微風の流れに気づいてハッとさせられるのだが、それらのひそやかな要素が、さらに連想を掻き立てていくのが楽しい。また、この日は快晴という恵まれた天気だったのでなおさらだろうが、屋外のインスタレーションがとても印象に残った。池のそばに張られたテグスのビーズがときどきキラキラと輝いて見えるありさまも、リボンが風に舞いあがって視界から消えてしまう瞬間も美しかった。

2010/01/17(日)

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横浜美術館開館20周年記念展「束芋:断面の世代」

会期:2009/12/11~2010/03/03

横浜美術館[神奈川県]

鎌倉から横浜へ移動し束芋展へ。12月も来館したが、電気トラブルのせいでほとんど見ることができなかったのでリベンジ。スクリーンと空間がどれも独特の鋭さとジメジメした暗さの魅力、その迫力をいっそう引き立てる面白いインスタレーションだったけれど、なんとなく全体的に消化不良の気分が否めなかった。集合住宅をモチーフにした作品以外の映像作品はビジュアルイメージのみが運動的にパターンとして繰り返されている印象のほうが強く、束芋が表現する「断面の世代」の感覚がなかなか掴みきれなかった気がして残念。この日の私自身のコンディションのせいが大きかったのかもしれないが。

2010/01/17(日)

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内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」

会期:2010/11/14~2010/01/24

神奈川県立近代美術館鎌倉[神奈川県]

会期の終了が近づいているのを知り、ほとんど勢いだけで夜行バスに乗り鎌倉を目指した。薄暗い会場に入ると、ガラスの陳列ケースに小花柄や水玉などのプリントの布地、小さなガラス瓶、リボン、ビーズ、電球などで構成したインスタレーションが続く。鑑賞者はひとりずつ、順番に陳列ケースの中に入ることができるようになっている。美術館の展覧会場で、作品を独り占めするような贅沢な気分が味わえるのが凄い。中に入って意識を集中してみると、小さな鏡面やガラス、水面などに映る周囲の光景、水の波紋や微風の流れに気づいてハッとさせられるのだが、それらのひそやかな要素が、さらに連想を掻き立てていくのが楽しい。また、この日は快晴という恵まれた天気だったのでなおさらだろうが、屋外のインスタレーションがとても印象に残った。池のそばに張られたテグスのビーズがときどきキラキラと輝いて見えるありさまも、リボンが風に舞いあがって視界から消えてしまう瞬間も美しかった。

2010/01/17(日)(酒井千穂)

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2010年02月15日号の
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