2021年12月01日号
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artscapeレビュー

2010年07月01日号のレビュー/プレビュー

英ゆう 個展「外を入れる。」/「森」

外を入れる。
会期:2010/05/25~2010/06/13
京都芸術センター大広間[京都府]
会期:2010/06/02/~2010/06/26
イムラアートギャラリー[京都府]

2007年秋から2009年末までタイのシラパコーン大学でレジデンスを行なっていた英ゆうが、その成果を2会場で披露した。京都芸術センターは油彩画が中心で、タイの市街地で頻繁に見かける供花を描いた大作が多い。一方、イムラアートギャラリーは銅版画に比重が置かれており、植物や動物などをモチーフにした色鮮やかな作品が目を引いた。銅版画はこの度のレジデンスで習得したばかりなので、まとまった形でわれわれの眼に触れるのは今回が初めてだ。新たなアウトプットを手に入れた英が今後作風をどのように深化させていくのか、興味が募る。

2010/06/09(水)(小吹隆文)

活版を巡る冒険展

会期:2010/06/06~2010/06/13

CONTEXT-S[東京都]

活版についての展覧会。石神照美(陶芸家)、大友克洋(漫画家、映画監督)、坂崎千春(イラストレーター、絵本作家)、高橋和枝(イラストレーター)、中島たい子(作家)、マツバラリエ(美術家)がそれぞれ活版によって制作された作品を発表した。ペンギンのイラストレーションで知られる坂崎は、よいペンギンとわるいペンギンを描き分け、活版で印刷された私家本も販売した。中島たい子は、印刷所で活版をひとつひとつ拾い上げる経験をそのまま短編小説に仕上げた。活版への戸惑いや文字を選ぶ際の躊躇、逡巡などがそのまま活字で表現されているところが、たいへんおもしろい。

2010/06/11(金)(福住廉)

植田正治 写真展 写真とボク

会期:2010/05/21~2010/06/13

美術館「えき」KYOTO[京都府]

鳥取砂丘を舞台にした代表作をはじめ、初期から晩年までの作品を網羅した回顧展。初期作品こそピクトリアリズムや新興写真からの影響が見てとれるが、その後は一貫して独自の歩みが続く。生涯、故郷の鳥取から離れなかったが故のガラパゴス効果といったら失礼かもしれないが、中央から距離を置き続けたことが功を奏したのは間違いない。ある意味、写真史から浮いた存在だが、それ故彼の作品には時代を超越した魅力が宿っているのだ。また、シャープな構図と和の叙情が絶妙のバランスで均衡しているのも植田作品ならではの魅力だと再確認した。

2010/06/12(土)(小吹隆文)

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TKG Projects ♯1 桝本佳子

会期:2010/06/08~2010/06/23

TKGエディションズ京都[京都府]

装飾が本体を超えるほど肥大した壺や皿などの陶オブジェ(器?)で知られる桝本佳子が、久々に地元で個展を開催。新作では「圧縮」がテーマになっており、本来なら置物になるはずの馬や埴輪などが強引に壺の形に変形されていた。また、二つの壺がドッキングした新しいタイプの作品も。実用と装飾の関係を独自の視線で考察するユニークな作風に、ますます磨きがかかってきたようだ。

画像:《武人埴輪紋壷》2010, h.41x w.40xd.40 cm, ceramic
©Keiko Masumoto
Courtesy of Tomio Koyama Gallery

2010/06/12(土)(小吹隆文)

白子勝之 個展 exhibition 1

会期:2010/06/04~2010/06/27

eN arts[京都府]

紙の上に鉛筆でグルグルと線を走らせたようなフォルムのオブジェが壁にかかっている。のびやかな曲線と、線が重なり合う部分の細やかな加工が美しい。部分的に塗られた漆も効果的だ。白子は美大で漆芸を専攻したが、敢えて漆を前面に出さない引きの美学の持ち主らしい。ほかには、五重塔の先端の「水煙」を思わせる造形や、写真作品が出品されていた。写真作品は自作の漆の小オブジェを野菜と合体させたもので、実物は敢えて展示していない。いずれも初個展とは思えないほど完成度が高く、今後の活躍に期待が持てる。

2010/06/12(土)(小吹隆文)

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