2017年06月15日号
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artscapeレビュー

ヨーロピアン・モード

2017年04月15日号

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会期:2017/03/11~2017/05/16

文化学園服飾博物館[東京都]

宮廷が流行を生み出した18世紀後半、ロココの時代から若者や大衆が流行の担い手となった20世紀末まで、約250年に及ぶ欧米発信の女性モードの歴史をコレクションで概観する毎年恒例の展覧会。スタイルの変遷と、それらを取り巻く社会的背景も解説され、ファッション、デザインを学ぶ者にとってよい入門展示となっている。そして今年の特集は「黒のドレス」。19世紀後期以降、黒いドレスは喪服としてのみならず、流行として受け入れられるようになった。展示解説によればその理由は、1861年に英国ヴィクトリア女王の夫君アルバート公が亡くなり、女王が長い服喪期間に黒いドレスを着続けていたことと、同時期に黒色の合成染料アニリンブラックが発見され色落ちしにくい黒が安価に染められるようになったためだという。ドレスのほか、扇子やバッグ、帽子などの小物類、ジェットなどを使った黒いアクセサリーも展示されている。黒色に限らず、化学産業の発展による合成染料の普及、機械化の進展が、モードに与えた影響が見て取れる。例年であれば特集展示は本展示と別に独立したコーナーが設けられているが、今回の黒いドレスはモード史の文脈のなかで紹介されている。西洋モードの歴史はスタイルの変遷で語られることが一般的だと思うが、技術的視点から色彩を見るのも興味深い。[新川徳彦]


会場風景

2017/04/06(木)(SYNK)

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