2017年06月15日号
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artscapeレビュー

VOCA展2017 現代美術の展望─新しい平面の作家たち

2017年04月15日号

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会期:2017/03/11~2017/03/30

上野の森美術館[東京都]

絵画中心の展覧会だが、今回は絵画からちょっと外れた作品に見るべきものが多かった。例えば益永梢子は、平坦に彩色したキャンバスを切り取って丸めて6個の透明のアクリルボックスに詰め込み、アクリルの表面にも彩色したりドローイングしたりしている。絵画の断片の集積であると同時に、それ自体が絵画としても成立している。東畠孝子は壁に木材を組んで棚をつくり、そこに本(古本、画集、アルバム、楽譜など)を並べ、観客が自由に手にとって読めるようにした。これも1冊1冊の本が平面の積み重ねであると同時に、本棚全体がひとつの絵画として見られるのだ。
写真を使った作品では、加納俊輔、Nerhol、村上華子の試みが、いずれも既知のシリーズではあるけれど斬新だ。特にNerholの作品は、連続撮影した200枚のポートレートを重ねてカッターで彫り込んだ6点セット。写されたモデルは同一人物なのに、それぞれ表情が異なって見えるだけでなく、そこには(撮影)時間の推移も刻まれている。また、これも平面の集積であると同時に、レリーフ作品としても捉えることができる。今回いちばん感心したのは、ごちゃごちゃした猥雑な都市風景を白黒で描き、一部分をくりぬいてそこからカラー映像を見せた照沼敦朗の作品だ。描写の密度といい、孤高の世界観といい、ずば抜けている。これに比べれば、VOCA賞の幸田千衣の「風景画」は薄い。どうしたんだろう。テーマ自体が絵具を塗る行為と共振しているように感じられた以前の「水浴図」と比べても、退行してないか。

2017/03/16(木)(村田真)

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