2017年10月15日号
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artscapeレビュー

おとろえぬ情熱、走る筆。ピエール・アレシンスキー展

2017年04月15日号

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会期:2017/01/28~2017/04/09

国立国際美術館[大阪府]

90歳を迎え現役で活躍するベルギーの画家、ピエール・アレシンスキー(1927年ブリュッセル生まれ)の足跡をたどる回顧展。1940年代から現在までの作品、約80点が展示された。アレシンスキーは、1948 年に結成された前衛的な芸術家集団コブラ(CoBrA:コペンハーゲン、ブリュッセル、アムステルダムの頭の文字をとって命名)に参加後、本格的に活動を始める。その後、日本の前衛書家 森田子龍と交流して、床に置いた紙に墨で力強く自由なストロークで書くスタイルに影響を受けた。本展では、墨、唐紙、拓本といった東洋の素材と技法を用いつつ、自由奔放な筆による即興的な線描表現を見ることができる。さらには、コミックの影響を受けてコマ割りにした画面の物語性ある表現、版画技法を活用しつつ新しい技法をも併用して駆使する妙、アクリル絵の具を採用することで生まれる軽快さと鮮やかな色彩性(油彩とは異なる)など、魅力がいっぱい。底流にあるのは紛れもなく西洋のエッセンスなのだが、東洋のそれも昇華・融合した彼の作品群は、もはやなんらの枠や境界に捉われないなにものかを獲得している。齢を重ねて成長し続ける芸術家の旺盛な好奇心としなやかな感受性に魅了された。[竹内有子]

2017/04/06(木)(SYNK)

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