artscapeレビュー
魔法のはさみ──今森光彦の切り紙美術館
2011年09月15日号
会期:2011/08/17~2011/09/05
写真家として知られている今森光彦氏が切り紙の作家としてテレビに出演していたり、本を何冊も出しているのは知っていたが、実際に作品を見るのはこれが初めて。「魔法のはさみ」というタイトルに惹かれて見に行った。おもに動植物や鳥、昆虫をモチーフにした切り紙作品約200点が展示された今展、まるで壁紙の模様のように背景まで美しくデザインされたものもあり、目を見張った。たった一色の色紙なのだが、季節感やさまざまな生き物の動きを想起させるあじわいのある作品で、動植物のユーモラスな表情や小さな昆虫の脚など、精緻な観察を裏打ちする表現が見事だった。一本のハサミからつくりだされる作品世界。技術的なことよりも、どこまでものびのびとして自由な印象のその想像力に感動したし壮快だった。
2011/08/22(月)(酒井千穂)
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