artscapeレビュー
中原佑介さんを偲ぶ会
2011年09月15日号
会期:2011/08/20
ヒルサイドプラザ[東京都]
この会は当初、8月に80歳を迎える中原さんの傘寿のお祝いをかねて、『中原佑介美術批評選集』の出版記念会として計画されていたものだが、3月に中原さんが亡くなられたため、出版記念をかねた「偲ぶ会」となってしまった。選集の発行は現代企画室とBankART出版。BankARTとは、2005年にスクールの講師として中原さんをお招きして以来の縁だ。横浜市在住だったし。会の参加者は、ざっと見たところ9割方が50歳以上で、数十年ぶりというなつかしい顔もチラホラ。みんな中原さんと親交のあった人たちだが、同時にこれが批評に親しんだ、いや批評に導かれた最後の世代かもしれない。美術に限ったことではないが、批評が衰退して活字離れが顕著になったのは、軽佻浮薄の時代といわれた80年代前後のこと。そんな時代気分を促進した原因のひとつに『ぴあ』があったとすれば、元編集者として少し複雑な気分にもなる。そしてその『ぴあ』もこの夏に最終号を迎えたことを考えると、時代はもうふた周りほど進んでしまったことになるのか。
2011/08/20(土)(村田真)