artscapeレビュー

博物館網走監獄

2011年09月15日号

博物館網走監獄[北海道]

なぜか網走なう。網走といえば監獄、そこで明治23年に誕生したという網走監獄の博物館を訪れる。「網走監獄博物館」ではなく、博物館を前にもってくるところに日本一有名な(悪名高いともいえる)監獄としての「どや感」が漂う。首都大学東京みたいなもんだ。ぜんぜん違うか。丘の中腹に移築または復元した監獄建築は重厚な存在感を放つが、囚人や看守のマネキンや当時の労働風景を再現したジオラマなどは、本来の意図とは別の哀れさを感じさせないでもない。館内の食堂で監獄食をいただく。受刑者と同じメニューだというが、麦メシに魚と副菜2品、みそ汁がついた定食は思ったより豪華。もっと質素かと思った。それでも700円(サンマ)か800円(ホッケ)もするのは高いのではないか。もっともこれは観光用の値段で、囚人用はもっと安上がりだろうけど。売店には「網走監獄」の商標が入ったグッズや、「出所しました」というキャッチコピー入りの商品が並び、他のミュージアムショップとはあきらかにベクトルが異なる。負のイメージを逆手にとった自虐戦略なのだ。

2011/08/26(金)(村田真)

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