artscapeレビュー

藤島武二・岡田三郎助展:女性美の競演

2011年09月15日号

会期:2011/07/28~2011/09/04

そごう美術館[神奈川県]

ともに明治維新前後に九州に生まれ、曾山幸彦の画塾に学び、時期は違うがヨーロッパに留学し、東京美術学校で教えるという同じような道を歩んだ藤島武二と岡田三郎助。ふたりとも女性美を追求した人物画でも定評があるが、今回はその女性像を中心とした展示。ここまで共通点が多いと、どれがだれの作品かわからなくなり、2人展としての意味がなくなりかねないが、このふたりは初期作品を除いて作風はかなり異なっている。藤島が平面的でメリハリのある画面をつくるのに対し、岡田はぼんやりとしてなめらかな絵肌を得意とする。いってみれば、「モダニスト=藤島」vs「古典主義者=岡田」の違いであり、それがおそらく美術史上の評価の違い(藤島のほうが上)にも反映されているのではないか。でもぼくはよりキッチュ度の高い岡田に軍配を上げたい。

2011/08/14(日)(村田真)

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