artscapeレビュー

森下泰輔「濃霧」

2011年09月15日号

会期:2011/08/18~2011/08/27

アートラボ・アキバ[東京都]

霧が立ちこめるギャラリーに入ると、テレビモニターからは福島第一原発の映像が流れ、ときおり不気味なノイズが発せられる。奥には金と銀に塗られた骸骨も立っていて、不穏な空気に拍車をかける。降り注ぐ原発からの放射線を使ってノイズを鳴らすという試みだそうだ。なるほど、これからはガイガーミュージックとも呼ぶべき新たなジャンルが確立されるかもしれない。立方体に近いコンクリート製のこのギャラリーも、映像で見慣れてしまったあの建屋の内部を連想させ、舞台としてはぴったり。作者によれば、このインスタレーションは日本の将来を暗示する「五里霧中」をコンセプトとしているという。

2011/08/23(火)(村田真)

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