artscapeレビュー
クリエイター100人からの年賀状
2012年02月01日号
会期:2012/01/14~2012/02/18
見本帖本店[東京都]
しばしば形骸化した慣習といわれ、一部では携帯電話のメールに取って代わられつつある年賀状であるが、特別な理由がなくても、久しくつきあいのない相手とも挨拶を交わし近況を伝え合うことができる良い機会である。そして、小規模な事務所、個人事業者の多いデザイン業界において、それは営業活動の機会でもある。クライアントばかりではなく、同業者、先輩デザイナーたちにも送ることを考えれば、デザイナーにとって年賀状づくりは通常の仕事と同等、あるいはそれ以上のプレッシャーがあるのではないだろうか。この展覧会に寄せられた100人のクリエーターたちの年賀状は、このような期待を裏切らない優れたものばかり。紙の商社竹尾が、関わりのあるデザイナーたちに依頼し、今年は120人ほどが参加しているという。考えてみれば、年賀状のデザインには注文と制約が多い。年号、干支、新年の挨拶、100mm×148mmの限られたスペース。それにもかかわらずほとんどかぶることのないデザインの数々は、クリエーターたちの発想、用紙や印刷技術の多様性を知る見本帖でもある。[新川徳彦]
2012/01/19(木)(SYNK)