2020年01月15日号
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artscapeレビュー

入江明日香 展

2012年02月01日号

会期:2012/01/10~2012/01/21

シロタ画廊[東京都]

銅版画のコラージュで知られる入江明日香の個展。鋭い線とたおやかな色によって「少女と四聖獣」を描いたシリーズを発表した。いずれの作品にも描かれているのは、少女と神話的な動物。両者が密着した平面は、一見するとコマとフキダシを外した少女マンガのようだが、余白を絶妙にとらえた画面構成と控えめながらも調和の効いた色彩が、物語から自立した平面作品として成立させている。とはいえ、入江による今回の作品の醍醐味は、平面作品の自立性というより、むしろ神話的な世界を想像的に描いたところにあると思う。それを描いてきたのはマンガであり、美術はむしろ等閑視しがちだったことを思えば、動物と人間が交換可能であるような神話世界をまっとうに描いた点は評価されるべきである。「人間」の根拠が疑われている昨今、それを改めて規定するには神話世界に立ち戻るほかない。であればこそ、神話的動物と人間の関係が一対一である現状から、それらがより複雑に入り乱れる混合的な画面を待望したい。

2012/01/19(木)(福住廉)

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