2020年08月01日号
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artscapeレビュー

桂川寛 追悼展

2012年02月01日号

会期:2012/01/11~2012/01/18

三愚舎ギャラリー[東京都]

昨年10月に亡くなった桂川寛の追悼展。晩年に描かれた水彩画をはじめ、シュルレアリスム絵画、モノクロによる風刺画などが発表された。昨年の2月に熊谷守一美術館で催された回顧展では、よく知られている50年代のルポルタージュ絵画を中心に展示が構成されていたが、今回は上京直後に描かれた絵画など、これまであまり知られることが少なかった作品が数多く発表されていた。小規模な会場だとはいえ、資料を細かく配置するなど、充実した展示である。それらの絵を見ていると、擬人化された魚が頻繁に登場していることに気づくが、これは桂川自身を魚に見立てたものだという。他者を動物に見立てたうえで批判的に風刺する画家は少なくないが、自己を動物として描写する画家は珍しいのではないだろうか。ひとを笑うことはたやすい。だが、自分を笑い飛ばすことはなかなか難しい。桂川寛の絵には、その困難な芽が隠されていると思う。

2012/01/18(水)(福住廉)

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