artscapeレビュー
HOWARD WEITZMAN PHOTO EXHIBITION
2012年02月01日号
会期:2012/01/18~2012/01/31
銀座ニコンサロン[東京都]
東京在住のハワード・ワイツマンの写真展。渋谷を行き交う人びとを写したモノクロのポートレイト50点あまりを発表した。ほとんどの写真は、いわゆるギャルの奇形的な風貌をとらえており、それらをていねいに見ていくと、写真家の視線が立体的に造形化された髪型や人工的に倍増されたまつ毛に注がれていることがよくわかる。彼女たちはいずれも無表情であり、それゆえ顔面の筋肉が一様に下がっているにもかかわらず、まつ毛はどこまでも上昇するかのような異常な生命力を誇っているところに、現在の都市文化の矛盾が如実に表わされているような気がした。すなわち、自然としての身体に生命力が乏しい反面、人工的な身体に瑞々しい生命力があふれているというねじれ。もしかしたら現在の都市生活者はすでに死んでいるのではないか。そんな想像を繰り広げたくなる写真である。
2012/01/19(木)(福住廉)