artscapeレビュー
自然学|SHIZENGAKU─来るべき美学のために─
2012年09月01日号
会期:2012/08/11~2012/09/23
滋賀県立近代美術館[滋賀県]
滋賀県の成安造形大学と英国のロンドン大学ゴールドスミスカレッジによる国際学術交流プロジェクトを母体に、成安造形大学と滋賀県立近代美術館の連携推進事業として実現した展覧会。21世紀の最も大きな課題のひとつである地球環境問題に対して、芸術という枠組みがいかなる可能性を示せるかをテーマにしている。本展では、そのために「自然美学」という新たな論理の構築を提唱しているのだが、それがいかなるものであるのか、展覧会を見終わっても判然としなかった。個々の作品は一定のクオリティを保っているものの、どれも既視感がある表現ばかりだったからだ。こうした提案型の企画では、解答を保留あるいは観客に委ねるケースがしばしば見受けられるが、本展もそのひとつであったことが残念だ。ただし、自然美学については当方の認識が足りないだけかもしれないので、知識を得る機会があれば積極的に耳を傾けたいと思っている。ちなみに出展作家は、石川亮、西久松吉雄、馬場晋作、宇野君平、岡田修二、ジョン・レヴァック・ドリヴァー、真下武久、木藤純子、Softpadの9組だった。
2012/08/15(水)(小吹隆文)