2021年10月15日号
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artscapeレビュー

真夏の夢2012 小原久美子+長花子+西沢彰+長重之

2012年09月01日号

会期:2012/07/15~2012/08/04

スタジオロング[栃木県]

美術家の長重之が自宅で催した展覧会。長自身のほか、長女の花子、小原、西沢の3人が室内の壁面や床面に絵画やオブジェなど30点あまりを展示した。特徴的だったのは、長をのぞく3人がいずれも障がいをもったアーティストであり、それゆえ本展は障がいのある人とない人による、ある種のコラボレーションだったことだ。「アウトサイダー・アート」として囲い込まれがちな障がい者による美術表現を、非障がい者と同じ水準に解き放とうとする試みは、すでに「イノセンス──いのちに向き合うアート」展(栃木県立美術館、2010年)で長自身がおこなっているが、本展もその延長線上にある。とりわけ際立っていたのは、西沢彰。セスナ機を描いた絵画で知られているが、今回展示されたのは怪物のような絵画シリーズ。それは怪物にも見えるし、人間の下半身にも見える不思議な生命体だが、いずれの作品も小さな紙の左側に詰めてモチーフが描かれているのが特徴だ。この規則性が何を意味しているのかは、わからない。しかし、画面をじっくり見てみると、この怪物的なモチーフが水彩やパステルを巧みに塗り重ねて描かれており、また随所にスクラッチが活用されるなど、意外なほどに技術的であることがわかる。「アウトサイダー・アート」のなかに一括されがちなアートの質的な優劣はもちろん、技術の詳細な解明も、今後の大きな課題となるのではないだろうか。

2012/08/04(土)(福住廉)

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