artscapeレビュー

「てっさい堂」貴道裕子コレクション:美しき日本の小さな心──豆皿、帯留、ぽち袋

2013年02月15日号

会期:2013/01/02~2013/01/20

美術館「えき」KYOTO[京都府]

京都の古門前通りで伊万里の豆皿をはじめとする骨董を扱う「てっさい堂」。今展はその店主、貴道裕子氏の豆皿、帯留、ぽち袋のコレクションを一堂に展覧するというもの。駆け込んだ最終日は案の定多くの来場者、特に女性で賑わっていた。展示を見るために牛歩の列に並んだ帯留の展示コーナー以外は、さほど窮屈でもなかったのだが、なにしろ全体のボリュームが凄い。陳列された豆皿、帯留、ぽち袋は、どれも手のひらに収まる小さなものばかりだが、それらはじつに圧倒的な数量で、会場をふと見渡して呆然としたほど。感心というより感服だ。見てまわるのにとにかく時間がかかるのだが、模様や装飾、モチーフの可愛らしさ、繊細な美しさ、ユニークなテーマやシリーズものの面白さなど、どれも魅力がある。圧巻はやはり帯留の装飾であった。趣向が凝らされた展示ケースや展示法も、見応えのある展覧会であった。

2013/01/20(日)(酒井千穂)

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