artscapeレビュー

カタログ&ブックス│2013年2月

2013年02月15日号

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

会田誠作品集 天才でごめんなさい

著者:会田誠
編集:森美術館
発行日:2013年01月16日
発行所:青幻舎
サイズ:A4判、248頁
定価:3,570円(税込)

2012年11月17日(土)〜2013年3月31日(日)まで、森美術館で開催中の「会田誠 天才でごめんなさい」展カタログ。「デビュー以来一貫して自らが生きる社会を凝視し続け、批評、風刺あふれるセンセーショナルな作品を発表し続ける会田誠。そのタブーに挑む表現から真の評価が遅れてきた会田の全貌を検証する」[青幻舎サイトより]


SUPER RAT

著者:Chim↑Pom
発行日:2012年11月15日
発行所:PARCO出版
サイズ:A4変判、230頁
定価:3,000円(税込)

芸術実行犯Chim↑Pomの全貌! 2005年結成からパルコミュージアムでの個展「Chim↑Pom」までの代表作をすべて網羅。さらに国内外の評論家やキュレーターによるさまざまな論考を併載し、話題沸騰のアーティスト集団に迫る。[パルコ出版サイトより]


アシュラブック
興福寺 阿修羅像から東大寺 不空羂索観音像へ

著者:北進一
発行日:2012年11月17日
発行所:美術出版社
サイズ:A5判、152頁
定価:2.415円(税込)

興福寺の阿修羅像が美少年になった理由とは? 興福寺の阿修羅像は、日本の仏像の中でナンバーワンの「美少年」です。ですが、阿修羅のルーツをたどっていくと、ある疑問にぶつかります。阿修羅はそもそも鬼の神。インドや中国など各地でつくられた像の多くは、すさまじい形相をしているものが多々あり、美少年のイメージから遠くかけはなれています。では、なぜ興福寺の阿修羅像が生まれたのでしょうか? 本書では、美少年が生まれるヒストリーの裏に隠された、人間のさまざまなドラマに迫ります。また、最近の研究により新事実の発覚した、東大寺不空羂索観音像との関係もクローズアップ。さらに、奈良の美仏も多数収録。奈良の仏像の「美しさ」を徹底的に解説。仏像好き必見の一冊です。[美術出版社サイトより]


写真画報
荒木経惟「淫夢」×佐内正史「撮っている」

企画・編集:沖本尚志
発行日:2013年02月22日
発行所:玄光社
サイズ:A4変判、144頁
定価:2,520円(税込)

ふたりの写真家を選出し、それぞれの作品をほぼ同じページ数で掲載する新しい表現スタイルの写真雑誌です。写真表現を拡張する可能性を探りつつ、写真家の本質を対比によって表出させます。特集ではインポッシブルのインスタントフィルムで撮影した新作を発表する荒木経惟と、ストレートで純粋な表現で挑む佐内正史のふたりを取り上げます。それぞれ60 ページに渡るボリューム満点の撮り下ろしの作品ページとインタビューは、見応え十分です。他に最新写真ニュースやブックレビューなどのコラムを掲載しています。
玄光社サイトより]


地域を変えるソフトパワー
アートプロジェクトがつなぐ人の知恵、まちの経験

著者:藤宏志、AAFネットワーク
発売日:2012年12月10日
発行:青幻舎
サイズ:四六判、256頁
定価:1,890円(税込)

東日本大震災が起きる以前から、地域社会の疲弊に対して多くの振興策が実施されてきた。しかし、それらはじゅうぶんな成果を上げられなかった。公共事業による箱モノ行政や、大規模商業施設の誘致がいっときのカンフル剤として機能したとしても、高度成長期より徐々に進んできた地方の過疎化と大都市への一極集中は食い止められず、地域社会は疲弊したままである。そうしたなか、新たな地域再生の試みが少しずつ成果を上げ始めている。多様な地域資源を再活用し、人々のコミュニケーションを応援し、2000年以降地域コミュニティ再生に不可欠な存在として浮かび上がってきたのが、アートプロジェクトである。このアートを社会に開く活動は、地域における小さな拠点開発に長けており、大規模の施設を必要とせず、最小の投資を最大限に活かすことができる。私たちは、全国の様々なアートプロジェクトが備えているそんな機能を、「ソフトパワー」と名付けてみたいと思う。地域に暮らす、あるいは関わる人々の「もやもやとした思い」を受け止め、様々な実践へと展開していくこと。着実に成果を生んでいる各地の取り組みを取材し、一つひとつ紐解いてみたい。柔軟な社会変革、だからソフトパワーなのである。[地域を変えるソフトパワー特設サイトより]


建築映画 マテリアル・サスペンス

著者:鈴木了二
発行日:2013年01月30日
発行所:LIXIL出版
サイズ:B6判、336頁
定価:2,940円(税込)

建築家・鈴木了二は、建築・都市があたかも主役であるかのようにスクリーンに現れる映画を「建築映画」と定義します。「アクション映画」、「SF映画」や「恋愛映画」といった映画ジャンルとしての「建築映画」。この「建築映画」の出現により、映画は物語から解き放たれ生き生きと語りだし、一方建築は、眠っていた建築性を目覚めさせます。鈴木は近年の作品のなかに「建築映画」の気配を強く感じると語ります。現在という時間・空間における可能性のありかを考察するために欠かすことができないもの、それが「建築映画」なのです。ヴァルター・ベンヤミン、ロラン・バルト、アーウィン・パノフスキーやマーク・ロスコの言葉にも導かれながら発見される、建築と映画のまったく新しい語り方。本書で語られる7人の映画作家たち:ジョン・カサヴェテス、黒沢清、青山真治、ペドロ・コスタ、ブライアン・デ・パルマ、二人のジャック(ジャック・ターナー、ジャック・ロジエ)。黒沢清、ペドロ・コスタとの対話も収録。[LIXIL出版サイトより]

2013/02/15(金)(artscape編集部)

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