artscapeレビュー
関根美夫──身体から記号へ
2013年02月15日号
会期:2013/01/26~2013/02/23
東京画廊[東京都]
関根美夫は具体美術協会の創立メンバーのひとり(もの派は関根伸夫)。代表的なソロバンの絵を中心に、初期のアンフォルメルな抽象画や貨車を描いた絵(開いた扉から能面や女の人がのぞいてる)なども展示されている。タイトルに倣っていうと、初期のアンフォルメル絵画が身体性を強調したものだとすれば、その後のソロバンや貨車の絵は身の回りの日用品を記号化したポップアートといえる。画廊のオーナーによれば、関根は川崎重工の経理を担当していたそうで、貨車もソロバンも彼にとっては身近なものだったのだ。ソロバンの絵は壁に横一列に隙間なく並べられているため、全体でひとつの幾何学的抽象画と見ることもできる。おもしろいのは、ソロバンの示す数が、たとえば「1986」とかその作品の制作年になっていること。なるほど、これで「デート・ペインティング」をやればよかったかも。
2012/01/31(木)(村田真)