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アーティスト・ファイル2013──現代の作家たち

2013年02月15日号

会期:2013/01/23~2013/04/01

国立新美術館[東京都]

「特定のテーマを設けず、国内外で注目すべき活動を展開する作家を個展形式で紹介する」という、押しつけがましさのない、ある意味愚直なアニュアル展。と思ったら毎年開催というわけでもなく、昨年は休んで今年にズレ込んだみたい。年度でいえばまだ2012年度だけどね。今回は海外3人を含む計8人の出品。なにげに海外作家が増えているような気がする。韓国のチョン・ヨンドゥは、子どもの描いた絵とそれを現実化して撮影した写真を併置した作品と、老人の語る話を動画化した映像の出品。これはおもしろいけどありがちだなあ。インドのナリニ・マラニは、円筒形の透明アクリルシートに社会問題をテーマにした物語画を描き、光を当てて壁に影絵のように映し出すインスタレーション。これは昨年の「ドクメンタ13」で見たが、土着的な祝祭性と批評性を併せもつ表現は洗練されてないものの、時流におもねらない姿勢に強度を感じた。洗練されず、時流にもおもねらない愚直さは國安孝昌にも通じる態度だ。形態に大きな動きが出てきたとはいえ、巨大空間に何千、何万個もの陶片と丸太をひたすら積み上げていくマゾ的作業は、初めて見た4半世紀前と変わらない。ここにはナリニ・マラニと違って批評性は感じられないが、何十年も同じ作業を繰り返していくこと自体に批評性がはらまれているともいえる。また、延々と正面向きの子どもの顔ばかりを描き続けている中澤英明の絵画にも似たようなことがいえる。一見いまどきありがちな絵にも映るが、一人ひとりの奇矯ともいえる個性を古典的な技法で表出させた作品は、とりもなおさずアートが社会に存在すること自体の批評性を物語っているようにも感じられるのだ。

2013/01/22(火)(村田真)

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