artscapeレビュー

溶ける魚──つづきの現実

2013年02月15日号

会期:[第1会場]2013/01/10~2013/01/26、[第2会場]2013/01/10~2013/01/20

[第1会場]京都精華大学ギャラリーフロール、[第2会場]Gallery PARC[京都府]

絵画、彫刻、映像など表現ジャンルの異なる作家たちが「シュルレアリスム」をテーマに取り組んだ自主企画展。出品作家は荒木由香里、衣川泰典、木村了子+安喜万佐子、高木智広、中屋敷智生、花岡伸宏、林勇気、藤井健仁、松山賢、満田晴穂、麥生田兵吾の10名+1組。タイトルは、戦争や恐慌により人々が疲弊、憔悴していた時代のヨーロッパにあって、現状の不安や恐怖から目を背けずに己と向き合い、夢や無意識、本能などを鍵に真実を探求したシュルレアリストたちの態度への共鳴にもとづいてアンドレ・ブルトンの著作から引用された。そのアプローチのあり方は「つづきの現実」というサブタイトルが示しているのだが、ここではシュルレアリスムの技法や表現自体に影響を受けて日頃制作活動を行なっている作家や作品が紹介されたわけではない。今展は、これまでの価値観を覆す今日の現実社会の状況に鑑みながら、当時のシュルレアリストたちがそうしたように、自己の内面を見つめ直す作業とともに制作に挑み、いま自分が何をすべきか、何に目を向けているのかをそれぞれの表現から提示しようするものであった。会場は二つあったのだが、特にそれぞれの意欲と作品の魅力が堪能できた第一会場の展示は全体に見応えのあるものだった。

2013/01/25(金)(酒井千穂)

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