artscapeレビュー

アーツ・チャレンジ2013

2013年02月15日号

会期:2013/01/22~2013/02/03

愛知芸術文化センター[愛知県]

「アーツ・チャレンジ」は愛知芸術文化センターで開かれるコンペで、ぼくも審査員のひとり。このコンペはセンター内のギャラリーのほか、通路や階段脇の余ったスペースに設置する作品を募集するもので、サイトスペシフィックなインスタレーションが期待される異色のもの。審査員は昨年秋に作品のプランで選考し、今回そのプランがどのように実現したかを見届けるわけだ。入選作品10本のうちいくつか挙げると、ひたすら穴を掘り続ける映像を流す戸井田雄のインスタレーションは、地下空間を展示場所に選んで成功したと思う。いまは亡き祖父への思いをテキスタイルに込めた柏井裕香子の私的な作品は、よくも悪くも素朴な味わいが強く出ていた。油絵具を固めて動物や人間像をつくる木村充伯の彫刻は、結果は別にして個人的にもっとも興味を惹いたプランだった。袋小路のような通路に壁紙を貼って絵を飾った鈴木紗也香の展示は、絵画空間と現実空間の出会いの場となったようだ。昭和40年代をこよなく愛す菅沼朋香のレトロな屋台は、吹き抜けに置いたせいか思いのほかこぢんまり感じられた。まあいろいろと変な作品が集まって楽しくなったと思う。

2012/01/26(土)(村田真)

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