artscapeレビュー
日韓交流展「Histrorical Parade; Images From Elsewhere」
2013年02月15日号
会期:2013/01/09~2013/02/03
アートラボあいち[愛知県]
2階と地下の2フロアを使って日韓11作家の展示。それなりにキャリアを積んだ作家が多いせいか、チャラい作品は少なく、現実と真摯に向き合う姿勢が目についた。たとえばノ・スンテクはいわゆる光州事件を、高橋伸行はハンセン病をテーマにするなど社会問題に対する意識の高さがうかがえる。また、イ・ウォノはテニスコートやサッカーコートの白線をモチーフにすることで、おそらく韓国にとってもっとも切実な境界線(ボーダーライン)の問題を浮かび上がらせる。しかし日韓関係にまで踏み込む作品は少なかった。例外は、藤木正則の《日が昇る海/日が沈む海》という映像インスタレーション。これは日本側からと韓国側から撮影した海の映像を併置したもので、見た目に同じものでも見る角度や立場によってまったく正反対にとらえられることを示している。もう一歩進めて《日本海/東海》とか《竹島/独島》といった作品をつくって議論ができたら、日韓交流も別のステージに進めるかもしれない(し決裂するかもしれない)。
2012/01/26(土)(村田真)