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宮川香山 眞葛ミュージアム

2013年02月15日号

宮川香山 眞葛ミュージアム[神奈川県]

ジャポニスムの調査のため、明治期に横浜で活躍した陶芸家・宮川香山の美術館へ。横浜ポートサイド地区のビルの一画という、駅から行きにくいうえにわかりにくい場所にあるので、さんざん迷ったあげく到着。着いてみればわかりにくい場所ではないんだけど、表示が少ないので行き着けなかったのだ。さて、宮川香山といってもいまやほとんど知られてないが、京都出身で維新後に輸出用の陶磁器をつくるため横浜に移住した眞葛焼の陶工。初期のころは花瓶に鳥やカニがくっついたような、レリーフどころではない超立体的なハイパーリアリズム陶器で人気を博し、欧米の万博で賞を総ナメ。ところが10年もたたないうちに欧米人の好みの変化を目ざとく読み、作風を一転させてシンプルな磁器を制作。これがまた立体陶器に輪を掛けて海外で人気となった。したがって作品のほとんどは海外に流れてしまったので、ミュージアムをつくるために欧米各地で買い戻さなければならなかったという。ミュージアムといってもビルの一角を占める小さな施設だが、かつて横浜に窯があり、世界的な陶工が活動していたことを知るだけでも意義のある美術館だ。

2012/01/27(日)(村田真)

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