artscapeレビュー
京都精華大学建築学科 卒業制作講評会
2013年02月15日号
会期:2013/01/22
京都精華大学[京都府]
京都精華大学にて、ゲストとして卒計の講評会に参加した。鈴木隆之、新井清一、塚本由晴など、各スタジオの個性が学生の作品に強く表われている。総合では、塚本スタジオの黒越啓太による里山の住生活を100年かけて再生していく建築的プログラムが圧倒的に抜きん出ており、ほとんど討議の必要なく、最優秀になった。他に気になったのは亀井洋樹の淡路島の小屋バリエーション、泉谷真之輔の広場建築。長谷川翔の都市に葬儀場を埋め込む純粋建築、文元諒の帯状パターンによる学校などである。五十嵐の個人賞は、他の審査員が拾えそうにないものとして、戸田代紗絵子の納本堂と光益公太郎の橋を重ねる建築を想定し、前者が別の賞をとったので、後者を選ぶ。ところで、卒計講評会で一番感心したのは、賞を選ぶプロセスを完全に公開していること。学生が見ている前で、投票を行ない、議論をして絞っていく。また卒計で落とす学生も同様の手続きで決める。卒計イベントは公開されるのが普通だが、大学の卒計だと、相当希有な事例ではないかと思う。
2013/01/22(火)(五十嵐太郎)