artscapeレビュー

ザ・ビューティフル──英国の唯美主義1860-1900

2014年03月15日号

会期:2014/01/30~2014/05/06

三菱一号館美術館[東京都]

19世紀後半の美術というとフランスの印象派ばかりが注目されがちだが、イギリスではアーツ・アンド・クラフツ運動、ラファエル前派、唯美主義といったフランスとはまったく異なる流れがあった。その唯美主義に焦点を当てた展示。唯美主義とは産業革命によっていち早く工業化したイギリスで、粗悪な機械製品に抗い芸術と生活に美をもたらそうとした運動。いわば「芸術のための芸術」だが、作品そのものは甘ったるい表現が多く、印象派に比べればはるかに保守的でアカデミックな気がする。まあそこに退廃的な魅力を感じるんだけどね。レイトン、ホイッスラー、ムーア、アルマ・タデマといった日本ではあまり知られてない画家が紹介されているのがうれしい。ほかにビアズリーのイラスト、キャメロンらの写真、家具や陶器まで幅広く集めている。

2014/02/05(水)(村田真)

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