artscapeレビュー
2014年03月15日号のレビュー/プレビュー
三人展「片想い」
会期:2014/02/19~2014/03/02
同ギャラリーで「男の子バージョン」の展示を見て、そこから徒歩のprinzでの「女の子バージョン」へ。尾花大輔の細かい書き込みの多いドローイングや文字等の集合体のグラフィック、相反して白澤真生のデフォルメしたフレームの女性など、受賞歴も多い若手気鋭のデザイナーのぎこちなさにまで感じる“手触り”があったのは面白かった。そして、ギャラリーとギャラリーのあいだを歩いた10分ぐらいは「片想い」をより感じる時間と距離具合だったのも、どこか企画意図として組み込まれていたように思えて楽しかった。
2013/02/27(木)(松永大地)
明倫茶会「三月の明倫茶会」
会期:2013/03/01
京都芸術センター[京都府]
席主は美術家の木藤純子。同センター内、別会場で1日だけの展示も行なわれていたが、茶会は、参加者だけが体験できるもうひとつのインスタレーション作品から始まった。15人程度での鑑賞。薄暗い元小学校だった空間にて、頭上は照明があたって輝く校章、うすく空間を区切るのは、布に白くシルクスクリーンでプリントされた森(?)。作家の合図で照明がゆっくりと落とされ、蓄光インクによる木々が浮かび上がってくる。校歌とおぼしき旋律のピアノ演奏が始まり、終わるとまもなく茶室へ。広間は障子、大きな丸窓からの自然光のみという、薄暗い空間。まるでモノクローム、白と銀の世界でお抹茶をいただく神秘的な体験に至る。そののち、一般公開されていた展示へ。さきほどの木がプリントされた布に紙の花びらが舞い落ちてくるという作品空間。ここで、桜の木だとわかる。それにしても木藤作品における余白は一度入り込むと、とても楽しい。なんならその空間にずっといても退屈しないんじゃないかと思う。いっそのこと作品の中に住んでみたい。
2013/03/01(土)(松永大地)
梅田哲也「0才」(大阪市現代芸術創造事業 Breaker Project「ex・pots 2011-2013」)
会期:2014/02/22、23、28、03/01、02、07、08、09
山王郵便局横 空き地[大阪府]
これは街全体が梅田作品か。金網にひっかかるテレコから流れ出す音声に従い案内所へ。展示会場だった廃屋では、半世紀以上前の大阪歌が流れていたかと思うと、突如人が現われ、ぼろぼろの梁をわたり、天井(半壊)に置いてあるプレーヤーにたどり着き、SP盤レコードをひっくり返す……。1階では空き瓶を吹いたり、石を愛でたりしている……。なんだかいろんな人が出たり入ったりしてざわざわしている。ゴルフ練習場でブンブン動く大きな黒い球。空き地。これも作品だっけ? でも、ぱっと見ただけでは、なにが起こってるかなんて全然わからないいつもの街にも見えるのだろう。地域との協力も、遊覧する企画としても完成度が高かった。宣伝文句に寸分違わず、西成に梅田哲也のひとつの集大成を見た。
2013/03/02(日)(松永大地)
プレビュー:REIKO TADA EXHIBITION FRIENDLY GHOST
会期:2014/03/16~2014/03/31(3/21、28は午後旧廊)
prinz 1Fカフェギャラリー[京都府]
挿画やCDジャケットなどで活躍しているイラストレーター多田玲子。2年前に京都に活動拠点を移して以降、初のホーム・京都での個展となる。3月30日には、昨年末にタイで2年ぶりのライブを行ない華麗に復活(?)した作家自身の音楽ユニットKiiiiiiiのライブも行なわれるというから楽しみ!
2013/03/14(金)(松永大地)