artscapeレビュー
週刊ダイヤモンド(2014年2/22号)
2014年03月15日号
『週刊ダイヤモンド』がマーケティングの特集を組むということで、ヤンキーに関して取材を受ける。以前、某誌でヤンキー研究者と書かれたのだが、実際は筆者から一言もそう自称せず、『ヤンキー文化論序説』の編著をしただけで、専門ではないが、それでもよいかと、いつも事前に確認している。そのうえで、この本を刊行した2009年と現在の違いを改めて考えた。この本を出したときは「文化」論がメインだった。が、その後、斉藤環が『世界が土曜の夜の夢なら』(角川書店、2012)において、橋下現象をヤンキーと結びつけたように、政治上でも前面化している。橋下自体の勢いはかつてより衰えたが、橋下的なるものはむしろ広がっているのではないか。根性と精神で乗り切れる、売られたケンカはやり返せ、キリッ! 内向きには、それで政治家の人気は上がるだろう。しかし、権力者が、国際政治も、気合いのヤンキー・スピリットでのりきれると思われては困る。どこの国にも内向きのヤンキー精神はあるだろうし、それはそれで一定の意味はあると思うが、外交の場において、むきだしにするものではない。そうした意味で、ヤンキー論は「政治」の問題にも、リアルに射程が及ぶようになった。
2014/02/03(月)(五十嵐太郎)